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いきなり行き先変更!!(つづき追加)

猫に小判、熊本にエスファハン、というわけで。

ずーっと感じていたことだが、やっぱり建物には興味が沸かんわ・・・。「世界の半分がここにある」とかいわれているエスファハンですが、すまん!一夜で引き払うぞ!!(笑)

で、旅立ちの朝。朝っぱらから日光まぶしい、カップルとシェアの3人部屋を出て、4ドル払う。
そう、もうイランの通貨がない!

この後ヤズドへ行くとますます両替が厳しくなるかも、と思い、ここでわずかなUSドルをイラン通貨に換えておくことにする。
宿のやたらわたしの二の腕を触ってくる背の低い小間使いのセクハラハゲおやじに、両替の場所を聞くと、ずーっと15分ほど歩く銀行まで一緒に来てくれた!

ありがとう、おじさま・・・(扱いが急に変化。)

しこたま、といっても60ドル=540、000リヤールを入手。ドルはちなみにあと1万円くらいしかなーい。なんとかなるかな。
(あ、親戚筋の方がいらっしゃいましたら、振込み大歓迎です。)

さて、今日の目的地「ヤズド」へのバスが発着するターミナルまではこれまた市バスにのらなければ。
たしかこの辺から乗るはず・・・あ、掃除しているおっちゃんに訊いてみよ。

「北ターミナルまではここからでいいの?」

「ああ、いいよ。日本人か?そうかー。」

おっちゃんは、自分の店から何か持ってきた。

「はい、これ切符」

ありゃ、おっちゃん、これいくら?

「ノンノン、いらないよ、とっときな」

おっちゃんはまた店に帰っていった。昨日のパッカー、ワンちゃんが「イラン人に切符もらった」といっていたが、本当にあるんだなー。感動。。。

で。北ターミナルいきの黄色いバスにのる。
運転手のおっちゃん、そして乗客とも、こっちをまじまじと見ている。

ん?何か変?

あ!そうか!イランではバスの席も、男女が分かれているのだ!
前から乗るのは男性、真ん中のドアからのるのが、女性なのだー!

そう、空港に入場するときも、セキュリティチェックも、ぜんぶ男女別だった。。。
女は小さな入り口です。

さて、いきなり前から乗り込もうとしたアジア顔の異邦人。
すごすごとドアを換えて女性用の席についた。

「サラーム」と近くの女性に挨拶する。ちなみにイランでは全員、女性は外では黒などのスカーフで髪を隠しています。わたしも。暑いっちゅうの!

すると、となりのきれいな女性が、声をかけてきた。
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彼女は大学で食品化学を教えている27歳、レイ。濃いはずの眉毛を、イラン人には珍しく、細くととのえている。英語が堪能だ。

彼女とイランについて、私のことについて話をした。

「イラン人はだいたい20歳ー25歳くらいまでに結婚するけど、わたしはまだ。
あなたは一人でどうして旅行しているの?とても変わっているわね。イランではなかなか外国に行くビザは下りないわ。特に女性は・・・。イランのこと、どう思う?・・・・私は本当はこういうの好きじゃないの。」

若い世代からは、イランも変わってきているそうだ。

ちょっときいてみた。
「イランは核問題でいま世界中から危険な国だと思われているけど、どう感じているの?」

「ほかの国から危険な国だと思われているのはとてもいやだ。核は民間は誰も賛成してないのに、政府が勝手に進めている。」

「とてもギャップがあるのね・・・」

彼女は揺れるバスの中でバッグの中をごそごそし始めたと思ったら、ノートを取り出し、揺れがおさまると、私に

「メールアドレスを聞いてもいい?」と。

「もちろんよー」

同じターミナルでバスを降りて、彼女は私の「ヤズド」いきのチケットを買うのを手伝ってくれた。
「1時まで出ないって・・・しかも、1時のはエアコンなし。3時のはエアコンつきだけど、どうずる・・・?」

いやー、どっちもどっち・・・・。

「じゃ、1時で。」

「イランのバスは1時といってもなかなか出ないわ。いつも遅れるのよ。」

そうかー。気長に待つしかないね。
レイは10時のバスに乗って、大学へ向かっていった。

「ヘイリーマムヌーン(ありがとう)」
お礼を言って見送った。


さてと。。。。

あと3時間あるぞ。ま、ニューカレドニアで6時間待ったのよりはマシよね。

ボーっと座ったり、店を冷やかしたり、席を移動してみたり。とても清潔なバスターミナルだ。

あーあ、きょうからまた一人。ヤズドか・・・・。旧市街がいいって聞いたけど、モロッコの迷路みたいな感じかな。
とくにどうしても行きたいわけじゃないのよねー。

チカン注意のイランで、どんどん首都のテヘランから離れていくのが不安だった。
帰るのがむずかしくなったらどうしよう。。。

まぁ、しょうがない、ドイツに行くまでまだ時間もあるし、切符も買ったしね。

でもなぜか、気分はいまいちだった。


待合の椅子。
隣はビジネスマン風の男性。アタッシェケースを席の横に置き、携帯でやり取りしている。

反対側の席には「エクスキューズミー」と話しかけてくる若い男性。

向こうから話しかけてくる人は、悪い人の確率が高いので無視。


何かの拍子に隣のビジネスマン風と目が合い、挨拶をした。

どこにいくの?とこうので「ヤズドです」と答えた。

「ヤズドか・・・暑いぞ。」

え?やっぱり、エスファハンより暑いですか?

「暑いぞ。」

おじさんはどこ行くのか聞いてみると、ハマダーンという町の近くの「アラーキ」というところだそうだ。
ガイドブックの地図には、アラーキという場所はない。
ハマダーン、っていうのは、確かガイドブックに載っていたような。

「ハマダーンってどうなんですか?」

「ハマダーンはいいぞー。すずしい!いいところだよー」

え?そうなんですか?ふーん、涼しいのかー。いいなー。
暑さにはめっぽう弱い、私である。


「でもチケット買っちゃったんですよ、ヤズドの。」

「ハマダーンにいくなら、チケット交換してきてあげるよ」

え?ほんとですかー??


おっちゃんは、私のチケットをもって窓口にいき、3分後帰ってきた。

値段もやや高くなったようで、わたしがお金払います、というと、

「いいよいいよ。」

うわ~・・・・すみません!

「私についてくれば大丈夫。」


うーん、こりゃ助かる・・・。

おっちゃんは電話で仕事のやり取りをしていたかと思うと
「ちょっと街に帰って仕事をしてくるけど、ついてくるかい」

わたしはクソ暑い街中に行くのは否だったが、成り行きでついていくことにした。

おっちゃんはイスファハンの不動産を売る手続きをしに戻ったのだ。

その事務所にはいろんなイラン人がいて、40歳独身、日本で板金工をしていたおっちゃん、自称パイロットのおっちゃん35歳独身、いづれもわたしに電話番号を渡してくれ(いらないのに)、

「イスファハーンに帰ってきたら電話してくれ、僕の車でイスファハンを案内するよ」

「ありがとう!」

そんな、飛んで火にいる夏の虫じゃありまへんがな。

そうこうしているうちにバスの時間が。

「たいへんだ、バスのエアコンが壊れているらしい」

にゃにーーーー!!!

おっちゃんは、二人分のアイスクリームとお菓子を買ってきて、バスに乗った。

車内の電光掲示板↓

IN(車内)= 45度
OUT(外気)=41度

サウナじゃないんだから・・・・・。


おっちゃんと私、そして満員のお客さんを乗せて、バスはヤズドと反対方面に向かって走り出した。

車内ではイランの映画が流され、みんな各自で水をウォータークーラーまでもらいにいっている。

わたしはバスや車で隣の人と話すと気分が悪くなる、という癖があるので、少し気分が悪くなったが、ひと寝入りしたら楽になった。

おっちゃんが時々、水を汲んできてくれる。

それでも、また暑さのせいでくらくらしてくる。
でもイスファハンを離れるにつれて、車内の温度は38度と若干低くなり、ほっとする(ほっとする温度ではないけど)。

「おっちゃん、いつごろハマダーンにつくの?もう4時だけど」

「うーん、わしがアラーキの街で降りてから1時間半はかかるから、8時だな。」

そうか・・・・もう暗いなぁ。どうしよう、今夜の宿。

「今夜は遅くなるから、アラーキの町で一緒に降りて、宿で一泊していきなさい。安宿があるよ。今夜車で街を案内してあげる。明日の朝、ハマダーンに行くバスターミナルまで乗せてってあげるよ。」

あーそれは助かる・・・そうします。

おっちゃんと私はアラーキという街で降りる。
一泊60000リヤル=700円のやど。窓はちっちゃく高いところにあるので、独房のようだ。
一応値切る。

「1時間後に迎えに来るよ」

ほんとはもう一人になりたかったけど、まあしょうがないか。

1時間後おっちゃんは、街ではあんまり見かけない、まともな新しい車(フランス製)で現れた。

おっちゃんは工場の多いアラーキの、人と車であふれかえる町並みを危ない運転で案内してくれた。
「公園に行くかい?」

どうでもよかったが、行ってみることに。
家族連れでいっぱいだ。

休憩所にすわり、ZAMZAMコーラ(イランで有名なコーラ)を飲む。
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おっちゃんは突然話を変え
「ブスって知ってるか?キスのことだよ」

ハ?キス?そんなこと聞いてもないんだけど。

「ブスって日本では、不細工な女の人のことですよ」と答えたら。

「イランでは、家族や友人同士で、久しぶりに会ったらブスをするんだ」

へー。それで?私にしろとでも?
おっちゃんにはお世話になったが、日本男児として文化的に会ったばかりのおっちゃんとキスする常識はなかったので、

「日本ではしないよ、親となんて絶対(小さいころは別ですけどね)。。友人とも。」

ここは穏便に文化論に持っていくのが得策だ。

「わしはイランの文化が好きだね」

「ふーん、でも私は日本人だから、できない」

おっちゃんは少しがっかりしたような(気のせいかも)感じ。

公園を出て、私にメロン(120円)を買ってくれ、サンドイッチとジュースをおごってくれた。
しかし、私を一度も車から降ろそうとしない。
すべて一人で車を降りて買ってくる。異国人と一緒だとまずいのかもしれない。

そしておよそ1時間後、さよならっぽいムードになったので、
「おいおいおっちゃん、明日の朝、車でバスターミナルまで送るって言ったじゃん!」
と心の中で突っ込むが、ずうずうしくもできないため、おっちゃんに明日のバスの乗り方を聞いた。

と、車を降りると。。。

警察が私たちを待っていた。

「日本人かね、ひとりかね。明日はどこに行く?」

などと、宿のフロントで軽く質問を受けた。

無罪放免。そう、イランでは警察がうようよしている。

部屋に入って、シャワーもついてないので、悲しくくつろいでいた。
もう寝ようかなーとしたところ、

「コンコンコン、コンコンコン」

なんでしょう?

「FUMI 」というのであけてみた(知らないノックにドアを開けては危険です)。

なんと、おっちゃんと警察が2人、部屋のまえに来ている。

「FUMIに質問があるようだ。なあに、よくあることだよ。」

おっちゃんはいままで警察と話していたのか?

「部屋に入っていいか」と警察が言うので、それはご遠慮願い、別の部屋で尋問を受ける。

「どうしてイランに来たんだ?」
「どれくらい滞在する?」
「イランに来ようと思ったきっかけは?」
「地図は持っているのか?」

などなど。最後に私は必殺「大判世界地図」を広げ、どこから来たのか、テキトーに説明したら、やっと開放された。
警察のおっちゃんも、やっと笑顔を見せてくれた。

女性の一人旅はイランではかなり異質なことで、とくにガイドブックにも載っていないこの街では、めずらしい訪問者なのだろう。


汗だくでバスに乗り、長かった一日が、風呂も浴びれず、終わった。

by kumaf3 | 2006-06-22 01:15 | アジア編  

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